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八ツ田和夫は非常に几帳面な男性です。彼の生まれは静岡県の田舎。彼には祖父母に両親、2人の姉と1人の妹がいます。家族は皆、昔からその田舎でのびのびとおおらかに暮らしているのですが、なぜか彼だけ、超几帳面なのでした。幼いときから、おとなしくてもの静かで、とてもとても几帳面だった八ツ田和夫は、祖父母や親戚、両親からも「いったい誰に似たのだろうか・・・」と考え込ませるほどでした。というのも、祖父は、地域のお祭りでは率先して大酒を飲んで騒ぎまくり、祖母は豪快かつ大胆で、小さな量り売りのお菓子屋さんを営んでいたのですが、安い値段で、おまけだよ、と大量のお菓子を売っていたものですから、商売には全くなりませんでした。野山を走り回り、泥だらけで家に帰ってくる姉や妹を、ただにこにこと見守る両親は、少しくらい家が汚れたって気にしません。掃除も少々苦手でした。

そんな家族に囲まれた八ツ田和夫の趣味は、掃除、整頓でした。少し汚い八ツ田家に、彼は幼いながら不満を持っていました。彼の几帳面は、この家族に囲まれていたからこそ磨きがかかったのかもしれません。彼は4歳の誕生日のお祝いに雑巾が欲しいと言い出し、床を1か月もかけてピカピカに拭き上げました。5歳の誕生日には、はたきが欲しいと言い出し戸棚の上や本棚の上を、椅子を駆使して3か月もかかってきれいにしました。小学校に入り、ワックスというものを知ると、6歳の誕生日にはワックスが欲しいとねだり、チリひとつない家の床を丹精込めて丁寧に丁寧に磨き上げました。もちろん毎日、家の一通りの掃除は欠かしません。家族は掃除が苦手だったので、そんな彼をありがたがっていました。祖父母はたいそう感心し、おこづかいをあげようとしましたが、八ツ田和夫は、いらない、趣味だから、と決しておこづかいを受けとりませんでした。

そして大人になっても八ツ田和夫の几帳面は変わりませんでした。端正な顔をしている彼に寄って来る女性はいくらでもいましたが、皆彼の几帳面さに引いてしまい、いつも去っていきました。もちろん、彼は恋愛に興味があったのですが、掃除と恋愛とどちらが好きかと聞かれれば、迷わず掃除と答えました。
しかし、恋愛はなかなか困難でしたが、彼の性格は仕事においてはとても重宝されました。時間内に丁寧かつ迅速に仕事をこなすためです。
そんな彼はまだ28歳です。仕事は順調に進んでいるし、きっと素晴らしい女性が現れることでしょう。

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